送電塔のミメイ:ストーリーが名作なおすすめ長編ノベルフリーゲーム
出典:http://true-re.sakura.ne.jp/
学生時代、わたしは親の言いつけの「ゲーム1日1時間」を破るべく、様々な策を弄しました。そのうちの1つが、パソコンで無料ゲームをすること。親はパソコンでゲームが出来るなんて夢にも思っていなかったでしょう。
画面を切り替えれば、セーブデータを飛ばすことなく、何でもない風を装える。もはや無双状態でした。
無料ゲームといっても、あなどるなかれ。その中には、有料ゲーム以上に心に残るストーリーが満載でした。作られているゲームのほとんどは、「RPGツクール」という、プログラミングの知識なんていらなくても、誰でもゲームが作れてしまうソフトで作り上げたものばかり。だからゲーム戦闘はどれも同じで、面白いシステムなんてそうそうありません。
でも、その中でも光りつづけてやまないのは、やはりストーリーが素晴らしかったからでしょう。むしろストーリーのないゲームは個人的にいりませぬ。
そしてその数多星の数ほどもある無料ゲームの中から、最も私の心をうったものがたり。
それが、「送電塔のミメイ」でした。
ある意味において、これ以上のストーリーを持つゲームは、有料無料を通しても、もう出会うことはないと思います。
それほどの、物語です。
目次です
とある離島にやってきた少女と、鬼の青年の物語
廃墟離島と呼ばれる島がある。そこに、「コゴリ鬼」という不思議な鬼がわく。人のかなしみと思い出の中から生まれるそれらと共に暮らす島。真っ赤な送電線と、突き抜けるような青い空と、時々風に舞って飛んでいく、緑色の葉っぱ。
懐かしいものに囲まれたその島は、しかし鬼が出ることもあり、離島から離れる者も多く、その名の通りに朽ちて行こうとしていた。
その時に鬼退治に雇われ、現れたのが「ミメイ」という少女だった。少女は、自分のことを「鬼」だと言う島の青年、「夜刀」と出会う。2人の出会いを始まりとして、島の崩れゆく日常は、少しずつ形を変えていく。
2人のもどかしいほどの距離感と、島のひとの温かさ、ストーリーと音楽、そして文章のやわらかさに、ゲームを進めていくこちらの心まで溶かされていくような、やさしい、あたたかくて、しあわせで、それゆえに苦しい程つらくなる、泣きそうなくらいの物語です。
しかし最後には、優しいだけではない、とんでもない結末が待っています。
ノベルゲームという形
ノベルゲームとは、本を読むようにボタンを押して物語を読み進めていきながら、時折選択肢を選んでいくゲームの形です。選んだ選択肢によって、迎えるエンディングが変化します。ノベルゲームって、本物のエンディングにたどり着くには、ものすごい労力を必要とするイメージです。
しかし「送電塔のミメイ」は、たぶん、正確には、ゲームと呼ぶものではないのでしょう。分岐がないのです。音楽と映像と文章で組み合わされる1冊の本を読み進めるような形になっています。
ゲームとしては成り立っていないとは思いますが、それでも、「送電塔のミメイ」にとって、ノベルゲームという形は、この物語が表現したい世界観と、想いをひとに届けるための、最高の手段だったと思います。
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神と為る条件「音楽」
私にとって神と呼ぶべき類の物語たちの定義は、「終わった後に、取り残された感があるもの」だと思っていますが、ゲームやアニメであれば、特に音楽の存在が物語の良し悪しを、大きく左右します。
無料ゲームは、RPGツクールに備え付けてあるBGMを使っていることが多く、使い古されているものだったり、状況に合っていないものが使用されていて拍子抜けすることが多いのですが、「送電塔のミメイ」は音楽面もこだわっています。
無料素材から集めてきたものなのですが、まるで星屑を集めてきて、空に散らばせてあたらしい星座を作ったみたい。それぞれが味を出し、夜空を引き立てています。
物語を繰り返し読んだあとは、時々ゲームを起動させて、その音楽を作業用BGMとして使っているくらい愛用しています。
クライマックスで物語がいっきに動いた時のあの音楽が、震えるほどの衝撃を呼びます。
こんなところでいくら語ったって
もはや何の意味もないです。なにもつたわらない。好きすぎて全く伝えられません、なんだか冷静になってしまいます。
もうこの記事何回30回くらい書き直しているのですが・・・全然ダメです。上手く行きません。
ただただ黙って、この物語をあなたに渡したい。
なにもきかずに、なにも言わずに、家に持ち帰って読んでほしい。言葉なんてもはや要らないです。
一度無になって、そっと、箱庭の妖精を覗くような気持ちで、このゲームを開いてみて頂ければと思います。
<送電塔のミメイの作者さんによる別の物語>
感動傑作!切ないフリーゲーム「TRUE REMEMBRANCE」あらすじと感想
こちらもすごく好きです。
雪が溶けるような、優しい物語。
<ストーリー重視のゲームなら>
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