魔法使いで箒で飛べなくても自分で空を飛んだ日。私が空を飛ぶまで⑦【実話日記】

あなたは空を飛びたいと思ったことはありますか?

私は空を飛ぶということは、夢の1つでした。でも、そんなことがまさか叶う日が来るなんて思ってもいませんでした。少しずつ連載で、私が空を飛ぶまでの実話をお届けいたします!本日は完結編第7話!

目次です

前回までのあらすじ

空を飛びたいという夢を持った高所恐怖症な私。京都のとある大学に合格した私は、入学式の日に、とある1枚のビラを受け取る。

真っ青なそのビラは、ひときわ目立っているし「We Can Fly!」なんて書いている怪しいビラ。でもそこには、本当に空を飛ぶ人たちの姿があった。空を飛ぶサークルに興味を持った私は、とりあえずサークルの説明会へ向かう。そこで出会ったのは美人のお姉さんだった!

お姉さんが説明して下さったお話に共感した私は、「空を飛ぶ体験会」に行くことを決意。そして体験会当日、いかつい車に詰め込まれて連れて行かれ、琵琶湖付近にある練習場へ向かった私は、ハンググライダーの体験会で、実際に空を飛ぶという疑似体験をしたのだった。


体験が終わっても、その時の感覚が忘れられない。
高い所は怖いし、きっと空バカの彼らと同じ気持ちにはなれないけれど。それでも空を飛べるチャンスは今しかないのはわかっていた。そうしてもう一度飛んでみようと決めた体験会は鳥取砂丘でだった。

 

しかしその体験会当日、私はなんと寝坊してしまう。
鳥取砂丘で空を飛ぶ機会を逃した私は、折角のチャンスを無駄にした自分への当てつけとやけくそで入部することを決めたのだった。

前回までの記事はコチラ

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ハンググライダーはどこまでいける?落ちるだけなのか

ハンググライダーは山から飛び出します。山から飛ぶときにはただハンググライダーを担いで飛び降りるだけではだめです。助走をつけなければならないのです。
紙飛行機を飛ばすことをイメージすると分かりやすいかと思います。

綺麗に折った真っ白な紙飛行機を手に持ってふわっと空へと投げ出す。
そうして空へと飛びだした紙飛行機は、ゆっくりと飛びながらやがては地面にすとんと落ちる。

まさしく紙飛行機と同じように、空に飛び出すには、手でスピードをつけて紙飛行機を飛ばすように、助走をつけて空に飛びださなければなりません。
そうして空へと飛びだしたら、あとは下へ下へと降りていきます。

しかし!

ハンググライダーの凄さはただ山からおりていくだけではないことです。なんと自分が飛び出した高さよりもさらに上に行くことが可能なのです。

なぜかというと、上昇気流があるからなんです。
山に風がぶつかったら山動かないです。上やら横やらに風が逃げるんです。
その上に逃げる風をつかまえることが出来たら、風と一緒に空高く舞い上がることが出来るのです。

それと、地面があたたまったら地面から空へと風が向かう上昇気流が発生します。
この上昇気流をつかまえることでも、空高く飛ぶことが出来るのです。

とにかく風が吹いて山のような大きな障害物に当たって上に行く風、太陽が出ている時にそこらへんから出ている上に立ち上る風。それらに乗ることによって、何メートルも何十メートルも何百メートルも上がることが出来るのです。

ちなみにどれくらい行けるかというと1000メートルとか2000メートルとか!!
スカイツリーでさえも634メートルだというのに。つまりあれよりもはるかに高い高度までのぼっていくことも出来ます。
そして高度が許す限り、どこまででも飛んでいくことが出来ます。それこそ1キロ2キロのはなしではありません。100キロ200キロを超えて飛んでいくことが出来るのです。

ちなみにこれ、完全に「エンジンなし」で、です!
ただただ風の力だけです。

ただし私は怖かったので、当時そんなことを説明されても
むりむりむりむり
くらいにしか思いませんでしたが・・・。

ほんとなんで私、入部したんでしょう・・・

それよりか私の心に響いたのは景色でした。
「トンビと一緒に飛べる」
「雲の上を飛べる」
「琵琶湖を空から眺める」
「上昇気流で立ち上ってくる桜の中で飛べる」

そんな、とても普通の生活では想像すらしなかったあり得ない世界。

ただの凡人だったわたしにとっては、おそらくそこが一番大きかったのではないかと今は思います。
厨二病になるほど、平凡すぎる現実世界に絶望していた私は、この空の世界に非日常を見出したのでした。

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初めてひとりで山から飛んだ日

その後、地上での「空を飛ぶ」練習を重ねて、不思議と私は怖いと思わなくなっていきました。

最初から山から飛ばなければならないのだったらおそらくわたしには一生無理だったと思いますが、始めは低い高度で、そうして出来たら少し高い高度、また出来たらさらに高い高度、というように段階を踏んでいったからというのも大きいと思います。

最後にその「自分の力だけで空から飛ぶ」日を迎えた時には、完全に恐怖はありませんでした。
それよりかは自分で飛ぶという感覚を早く味わいたくて仕方なかった。

しかし高い所への恐怖心がなくなったわけではありませんでした。

何もなしで飛び出す斜面の先端に立つことはとてもできませんでした。

025 (2)

↑ここから飛びます。
しかし、なぜだかハンググライダーを担いで見る景色は違いました。
怖くなかったのです。その景色は純粋に美しかった。キラキラ輝く琵琶湖に見とれる余裕があるくらいに。

なぜなら私は空を飛べると分かっていたからです。

怖いのは、「落ちるかもしれない」という恐怖があるから。けれどもハンググライダーを担いだわたしはちがいます。

 

空を飛ぶ鳥が飛行することに対して恐怖しないように

海を自由に遊泳する魚が泳ぐことを恐れないように

「空を飛べる」わたしもまた、空を飛ぶことに対して恐れはありませんでした。

そうしてわたしは飛びました。
ざわめく木々を下に見ながら、山を通り過ぎて広がる地面と、今まで教えて下さった師匠や、先輩や、一緒に頑張った同期たちが小さく手を振っているのが見えました。

琵琶湖の方を見ると、湖岸道路を走っている車がまるでミニカーのよう。

地上と空との間に別の次元が存在しているかのように、わたしはその瞬間、確かに異世界の住人になりました。
きっと魔法を使えることを隠しながら普通の学校に登校する魔法少女たちは、こんな気持ちなんだろうな。

風が通り過ぎる音が聞こえる。

そうして最後のターンを行って、真っ直ぐ地面に向かって、最後のブレーキをかけたとき。すとんという草を踏む音とともに、地上に降りました。
その時今までそばで鳴いてその存在を知らしめていた風の音はまったく聞こえなくなり、一瞬で音のない世界に変わりました。

そうして「初山飛び」恒例のお祝い行事?先輩同期からのヘルメットをたたかれまくるイベントを終了し、私の初めての山飛びは終わりました。

あの瞬間風になったことを
わたしはきっと一生忘れられません。

飛出したときに開けた景色や空から見た夕焼けに染まっていく空に飛び込んだことや何か別の世界に出てきたようなあの感覚もなにもかも。

これが私の、とある「空を飛んだ」話でした。おしまい。7回にわたってお読み頂きまして、ありがとうございました。(前回までの記事はこちら)

追伸

あ、言い忘れていましたがお世話になったスクールは京都エアースポーツ」です。
サイトの「BBS」で師匠の人柄がちょっと見えるかも。関西を出ちゃった私ですが、今でも会いに帰っちゃうほどのわたしの第2の父です(勝手に

京都エアースポーツの記事(関西で空を飛びたい人)はこちら

関東で空を飛びたい人はこちら

鳥取砂丘で空を飛びたい人はこちら

ぶっちゃけ空を飛ぶって事故とかはあるの?

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